現役時代に阪神など4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏が分析
藤川球児新監督の下でV奪回を目指す2025年阪神の開幕スタメンをOBが予想した。現役時代に阪神、ヤクルト、日本ハム、横浜(現DeNA)の4球団で計21年間捕手として活躍した野口寿浩氏は、21歳の若虎を3番候補に挙げた。
野口氏は「現時点では藤川監督の考え方がわからないので、『僕が監督なら……』という形での予想になります」とした上で、「1番・近本(光司外野手)、2番・中野(拓夢内野手)は2024年と同様。3番には、左打者が3人続いてしまいますが、あえて前川右京(外野手)を置きたいと思います」と言う。
野口氏は前川の打撃センスを奈良・智弁学園高時代から高く評価していた。2021年ドラフト4位で阪神入りした21歳は3年目の2024年、116試合に出場し打率.269、4本塁打42打点とブレークした。2025年にはさらなる成長が見込まれる。「主軸になるべき選手だと思います。2024年は岡田彰布前監督が対左投手の時に、代打を送ったり、スタメンから外したりするケースがありましたが、藤川監督はどう判断するか……」と野口氏。前川の対右投手の打率は.268(276打数74安打)、対左投手は.271(48打数13安打)で、対戦機会は少なかったものの、特に左を苦手にはしていない。
「4番は2024年の得点圏打率(チームトップの.354)と、4番を打ってきたキャリアを買って大山(悠輔内野手)。5番は、WBSCプレミア12で侍ジャパンの4番としてチャンスに強いところを見せた森下(翔太外野手)に任せたい」
大山の後ろを森下が打つことによる相乗効果は、非常に大きいと見ている。「森下が5番に控えていれば、相手投手は大山を四球で歩かせるリスクが高くなり、ストライクゾーンで勝負するので、大山の成績も上がると思います。2024年に5番を数多く打ったのは佐藤(輝明内野手)でしたが、好不調の波が激しく、調子がよくない時に当たると、相手は大山に対して『歩かせてもいいや』という気持ちで際どいコースに投げてきて、結果的にいいピッチングになっていました」と野口氏は説明する。
“ロマン”重視のプランBも…20歳捕手の中川、19歳ショート山田を高く評価
6番には佐藤輝、7番には遊撃手(木浪聖也内野手か小幡竜平内野手)、8番には捕手(梅野隆太郎捕手か坂本誠志郎捕手)を置く。
一方、野口氏の胸の内には“ロマン”重視の「プランB」も存在するという。「1番に近本、2番に前川を置いてみたい。前川は引っ張って一、二塁間に強い当たりのゴロを打てる選手です。無死一塁から、一、三塁の局面をつくることができますから」
その場合は、3番・大山、4番・森下。「4番・大山、5番・森下のプランと同じ理由で、この順番を崩したくない。“大山を助ける森下”がポイントです」と野口氏は強調する。プレミア12の全9試合で4番を張った森下なら、阪神の4番に定着しても臆するところはないはずだ。
5番に佐藤輝、6番に中野。「中野は長打こそ期待できませんが、2023年に打率.285をマークしたように、走者を返すポイントゲッターの役割も十分務まると思います」と太鼓判を押す。
“ロマン枠”はここからで、「7番・捕手を20歳の中川(勇斗捕手)か、ドラフト4位ルーキーの町田(隼乙捕手=BCリーグ・埼玉)、8番・遊撃を19歳の山田(脩也内野手)に狙ってほしい」と語る。
町田は、野口氏自身がBCリーグ・埼玉の西崎幸広前監督の要請で臨時コーチとしてスローイングなどを教えたことがある。同い年の中川ともども“打てる捕手”タイプだという。「梅野、坂本が健在なうちに、若い2人に勝負を挑んでもらいたい」とエールを送る。仙台育英高時代に甲子園を沸かせた山田は、プロ1年目の2024年にイースタン・リーグで102試合に出場し経験を積んだ。
いずれにせよ、開幕投手は「才木(浩人投手)でしょう」。最近2年連続で務めていた青柳晃洋投手は、ポスティングシステムでメジャー移籍を目指している。才木にとっては自身初の開幕投手となるが、2024年に13勝3敗、防御率1.83と躍進した右腕が大役を務めるのは、動かせないところではないだろうか。
新外国人選手の加入を想定しない“純国産打線”だが、伸びしろの大きい若手を軸に据え、魅力の詰まったオーダーとなっている。